事務所通信 平成21年8月号掲載
田端紘一少尉
 まもなくお盆です。毎年のことですが、TVにおいても第2次世界大戦を特集した番組が多く放送されるのではないかと思います。
 ところで、先日鹿児島県の「富屋食堂 ホタル館」に行ってきました。
「特攻の母」と呼ばれた鳥Mトメさんの経営していた食堂です。知覧特攻平和会館にも行きましたし、そちらの方が知名度は高いのですが、また違った感動がありました。知覧特攻平和会館では特攻隊員の遺品や関係資料約4500点が展示されており広大な敷地にありましたが、富屋食堂はそれの民間版といえるものでかなり小規模です。私は勉強不足の為、皆勇敢に特攻隊員として飛び立っていったものと思っていましたが、富屋食堂にそうでない事例が掲示されていました。
 標記の田端紘一少尉がそうです。彼には婚約者がいたのです。彼は3回出撃したにもかかわらず、3回とも引き返し、皆から「女に未練を残して死ねない卑怯者」と非難されました。最後は故郷の上空を飛行した後、畑に墜落して死亡したとのことでした。極限状態におかれた中で、守るべきものがあったため迷いが生じたのではないかと思います。
 しかし、私はこの少尉を卑怯者という資格はありません。そういう状況になってみないと本当のところは解らないからです。私はあの時代に生まれなくて幸せに思うと同時に、2度と戦争を起こしてはならないと思いました。子供にもいずれここを見せたいと思っています。
なお、田淵少尉の名は、特攻隊員の戦死者名簿に載っていないそうです。



                            所 長  須 田 幸 英
                               事務所通信 8月号掲載
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